化粧品OEM講座
いよいよ化粧品を開発・製造する段階です。第1章でも少し触れましたがこの第2章では、実際に化粧品を作る上で、委託先化粧品OEM製造メーカーの選定から実際に化粧品OEM製造メーカーとのやりとりを経て、製品化・納品までをナビゲートしていきたいと思います。
その過程において、特に注意すべき点や、満足できる化粧品が完成するために必要なポイントを解説していきます。
その前に! 皆さんが最適な化粧品OEM製造メーカーを選択する上で、何よりも大事な心得を2つ覚えておいてください。
やはり可能な限り多くの化粧品OEM製造メーカーへ相談してみましょう。自分たちが作りたい化粧品を最も得意とするOEM製造メーカー、自分たちに最も相性の良いOEM製造メーカーを選択するには、なるべく多くのOEM製造メーカーと接触しておくべきです。また理由はそれだけでなく、何社も相談することで比較することができ、いままで考えていなかった良いアイデアが見えてくることがあります。
化粧品OEM製造メーカーへ製造について問い合わせると、多くの場合、営業の方が皆さんのもとに訪問してくれるでしょう。当然、化粧品OEM製造メーカーにとって見込み客ですから、わざわざ出向いて要望を聞きに来ます。しかしながら、いつも来てもらうだけでなく、可能な限り皆さんの方からもOEM製造メーカーさんに訪問してみましょう。社員の方の対応や、設備面など、訪問してみなければわからないことがたくさんあります。一緒に化粧品ビジネスを展開していくパートナーとして、企業間の相性の良さは非常に重要です。お互い訪問し合い、会社を良く見ることで、最も重要な相性が見えてくるものです。
前章「化粧品OEM製造メーカーの役割」では、化粧品OEM製造メーカーの主な役割と、どんなタイプの化粧品OEM製造メーカーがあるのかという点で大まかに解説しました。これから、化粧品OEM製造メーカーへ問い合わせることになりますが、数百存在するとも言われているOEM製造メーカーの中からあてもなく探すわけにはいきません。
そこで、まずは皆さんに適しているであろうOEM製造メーカーに目星をつけるところから始めましょう。当サイト「おシゴト粧界ナビ」は、化粧品OEM製造メーカーをはじめとする業界企業を様々な視点で紹介している情報媒体です。ぜひ、当サイトの情報を有効活用して、製造委託先候補となるOEM製造メーカーを探していきましょう!
それでは、前章とあわせて「問い合わせるOEM製造メーカーを選ぶ基準」を考えていきます。
※注意:前提となる納期(発売時期までの期間)について
前回、全体的なスケジュール感を把握しましたが、化粧品OEM製造メーカーとコンタクトをとる前提として、スケジュールには余裕を持ってアクションを起こしましょう。
どんなに希望通りの化粧品を作ることができるOEM製造メーカーであっても、開発期間、製造期間が短いと受注することはできません。やはり時間には勝てないのです。
特に、イチから完全にオリジナル処方で化粧品を作る場合、発売時期が決定しているのであれば、納得のいく商品が作れるように半年前(6ヶ月前)には余裕を持って動き出しましょう。また、医薬部外品の場合は承認が下りるまで時間がかかりますので、その期間も合わせて考慮しましょう。いずれにせよ「モノ」を売るわけですから、時間を充分に費やして納得できる「モノ」を作るのは当たり前ですよね。
納期が短くそれがネックとなり、最適なOEM製造メーカーと巡り会えず、満足できる商品作りができないほど悔やまれることはありません。
まずここが最重要ポイントです。その他の事はさておき、販売を考えている化粧品をつくることができないOEM製造メーカーに委託することはできませんよね。例えば、メイクアップ化粧品を専門でOEM製造している会社にスキンケア化粧品を作ってもらうわけにはいきません。この点に関しては、当サイトでも個々のOEM製造メーカーの企業紹介ページで、「受注可能品目」として記載しておりますので、その情報をもとに大まかに絞り込めるはずです。
発注ロットに関しては一概に判断しにくい面があります。なるべく少なくはじめたいと思う方が多くいらっしゃいますが、少なければ少ないほどつくる化粧品に様々な制限が出てきますし、そんなに多く作っても販売できるかどうかわからないというところが本音でしょう。想定している販売ルートや今後の販売計画などを参考に、どのくらいの数量を発注するのかを、ある程度決めておく必要があります。また、化粧品OEM製造メーカーもはっきりと「◯◯個以上」という基準を設けていないことがあります。しかし、おおよその目安は教えてもらえるので、実際にOEM製造メーカーに問い合わせてみるしかありません。また、小ロット対応を得意としてOEM製造メーカーもありますので、小ロットでの発注を検討している場合には相談してみると良いでしょう。
前章でも記載しましたが、化粧品OEM製造メーカーは、規模や製造設備、製造可能な化粧品品目など外形的な面で異なるだけでなく、様々な面で個性豊かです。その中から皆さんに最適なOEM製造メーカーがきっと見つかるはずです。むしろ最適なOEM製造メーカーを探さなければいけません。やはり問い合わせの段階や、初回打ち合わせ時など早い段階でズバリ「御社の強みはどんな点ですか?」「同業他社と比べてどの当たりが特徴ですか?」などとズバリ聞いてみるのが良いでしょう。必ずなんらかの特徴や強みは持っているはずです。
例えば、「営業スタッフを多く抱えていて、顧客の要望にスムーズに対応できるスピード」「製造して納品するだけでなく、販売促進に至るまで支援する」など営業面を強みとしている化粧品OEM製造メーカーもあれば、「他社と比べて低コストで製造可能」「研究開発に力を入れていて、独自性の高い化粧品を製造できる」など、技術面やコスト面などで優位性を持っているOEM製造メーカーもあります。できる限りの情報を入手して、その中から自分たちの要望に応えてくれる最適なOEM製造メーカーを絞り込み、選択していきましょう。
以上を最低限考慮したうえで、実際に問い合わせ、商談しながらさらに細かな視点で化粧品OEM製造メーカーの選定を行いましょう。
※実際いいなと思う化粧品の製造販売元へ問い合わせるのもひとつの手である。化粧品のパッケージや容器には、必ず「製造販売元」を記載しなければならない。
情報収集のために化粧品OEM製造メーカーへ問い合わせることは、オリジナル化粧品づくりの第一歩。しかし、はじめての体験だけに「何を伝えればいいのかわからない」「どんな質問をされるのだろう」と不安に思ったり、要領がつかめていない人も多いのでは? そんな皆様のために、まるごとマネできる事前準備マニュアルをご紹介します!
事前にイメージし、決定した「作りたい化粧品に関するキーワード」を整理・確認しておきましょう。化粧品OEM製造メーカーは、皆さんと共に二人三脚で化粧品販売ビジネスの成功へと立ち向かう協力なパートナーです。そのパートナーと作りたい化粧品のコンセプトを共有できていなければ、満足できるいい化粧品の完成は難しくなります。問い合わせの段階でそれほど深く決まっている必要はありませんが、一応表面的な内容を聞かれても差し支えない範囲で応えられるようにしておきましょう。
第1章でも解説しましたが、あらかじめOEMメーカーへ製造を依頼する化粧品の品目を考えておきましょう。例えば、洗顔フォーム、化粧水、乳液、クリーム等になります。ここで、問い合わせ先OEM製造メーカーが、皆さんのつくりたい品目を製造できるかどうかについて応えてくれます。
商品コンセプトや事業計画で販路が決定していれば、OEM製造メーカーに尋ねられる可能性があります。さらに、どの程度の数量を確保しなければならないかという発注ロットとの関連もありますので、より具体的に整理・確認しておきましょう。
予算は尋ねられる可能性が大きいです。予算によって内容物や容器、パッケージ等を含めて作れるもの、製品仕様が決まってくるからです。化粧品OEM製造メーカーは個数や予算を考慮して、その範囲内で可能な限り皆さんのご要望に応えられる化粧品を作ろうと考えるからです。
初回発注ロットに関しては、想定しておく必要があります。最終的な発注ロットは容器やパッケージ、中身の原料などによって影響を受けますので、化粧品OEM製造メーカーとのやりとりの過程で決定することが望ましいです。あくまで、大まかな発注ロットは頭に入れておきましょう。例えば、売上計画と連動して販売個数もある程度決まっている場合は、その個数をどのくらいのスパンで調達するかなどを考慮すると、ある程度1回の発注で必要な個数(ロット)は決まってくるはずです。全くロットの見当がついていないと、OEM製造メーカーも困ってしまいますので、ある程度は考えておきましょう。
<初回発注ロットの目安>
※初回発注ロットの基本的な目安としては、向こう6ヶ月間の販売予定個数の合計ぐらいが適当だと言われております。例えば、1ヶ月目に100個販売、2ヶ月目に200個販売、3ヶ月目に300個販売、…、6ヶ月目に600個販売という販売計画であれば、その合計の2,100個が初回発注ロットという具合に考えられます。
上記のポイントを参考に、いくつかの化粧品OEM製造会社へ問い合わせをして情報収集を行いましょう。この段階で、例えば予定している品目が製造できない、など決定的な情報があれば、ある程度OEM製造会社を絞り込めるはずです。さらに上記ポイントが決まっていて整理できていれば、この先商品開発を行っていく上でも話がスムーズにできるでしょう。