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サクラン・フォリテクト~天然高分子多糖体〈ご当地原料〉~
熊本・福岡県産の藻類・スイゼンジノリから抽出した天然高分子多糖体「サクラン」への引き合いが近年高まっている。その他のご当地原料では、ナメコが分泌する粘膜保護成分由来の天然高分子多糖体「フォリテクト」の提案に注力している。保水力に優れたご当地原料の「サクラン」が好調
スイゼンジノリ化粧品原料商社として1975年に創業し、化粧品OEMや容器製造なども手掛けるホシケミカルズでは、原料部門において2010年から47都道府県ごとに各地の様々な素材を「ご当地原料」として提案しており、現在のラインナップは約200種類に及ぶ。
その中でも、保湿カテゴリーにおいては熊本・福岡県産の藻類・スイゼンジノリから抽出した天然高分子多糖体「サクラン」への引き合いが近年高まっているという。
サクランは平均分子量が約2900万の巨大な多糖体で、被膜形成・肌バリア・ゲル化・保水性・増粘作用などの特長を持つ。
このうち、保水性に関しては、改良ティーバッグ法にてサクラン・ヒアルロン酸Na・キサンタンガムの保水試験を実施し、各サンプル1g(乾燥重量)に対して保水した水の体積(mL)を測定した。
その結果、サクランは自重に対して6000倍以上の保水力を示し、さらにヒアルロン酸Naとキサンタンガムに比べて純水では約5倍、生理食塩水(塩水)ではヒアルロン酸の約10倍の保水力を有することが確認された。「用途としては化粧水や乳液などのスキンケアでの引き合いが基本的に多いが、ヘアケアのアウトバスやファンデーション・化粧下地といったベースメークなどにも幅広く採用されている」(企画開発室 広報 平地祥子氏)
新規原料「フォリテクト」のさらなる拡販に期待
その他のご当地原料では、ナメコが分泌する粘膜保護成分由来の天然高分子多糖体「フォリテクト」の提案に注力している。
フォリテクトは、ナメコ由来多糖類の高い保水力に着目して開発された山形県産の新規化粧品原料で、保湿のほかにも活性剤による刺激の緩和や、感触・泡質改善といった作用が確認されている。
フォリテクトの保湿効果に関しては、「蒸散抑制能・水分保持力」「肌に対する保湿効果」「洗い上がりの保湿効果」の測定試験をそれぞれ実施した。
「蒸散抑制能・水分保持力」の試験では、固形分濃度0.1%の各サンプル溶液(水・フォリテクト・ヒアルロン酸Na)を濾紙に滴下し、滴下5分後の重量変化から水分保持率を算出した。その結果、フォリテクトはヒアルロン酸Naに比べ、高い蒸散抑制力・水分保持力を示した。
「肌に対する保湿効果」の試験では、被験者3名の前腕部に水で希釈した各サンプル(フォリテクト0.025%(5%配合)・フォリテクト0.05%(10%配合)・ヒアルロン酸Na0.05%)を塗り広げ、塗布5分後の角質水分量をコルネオメーターで測定した。その結果、フォリテクトはヒアルロン酸Naの約2.5倍の高い保湿効果が確認された。「洗い上がりの保湿効果」の試験では、アミノ酸系ポンプ式洗顔料2種(フォリテクト5%配合・コントロール)を作製し、被験者4名の手の甲を洗顔料1プッシュ分の泡で20秒間洗い、ぬるま湯で10秒洗い流して軽く拭いた後、手の甲の角質水分量をコルネオメーターで測定した。その結果、フォリテクトを配合することで洗顔後の乾燥が有意に抑制され、官能評価においても「洗浄後の肌が滑らかになり、しっとり感が増した」との回答が寄せられたという。
「フォリテクトは泡立ちがよく、もっちりとした持続性のある泡が作れるため洗顔料での引き合いが多い。用途としてはスキンケアだけでなく、ナチュラルなカラーコントロールで肌の赤みをカバーするメークアップ効果も有していることから、BBクリームなどにも使用され、多機能原料としての評価が着実に高まってきている」(平地氏)
同社では今後も引き続き、保湿原料のカテゴリーにおいて「サクラン」「フォリテクト」の提案を強化し、さらなる拡販を目指していく。
「サクランとフォリテクトの2原料への引き合いが近年高まっている要因として、自然派・オーガニックを訴求した化粧品ブランドが増え、以前よりも素材自体のイメージやストーリー性がより一層求められていることが大きな要因となっている。そうした市場のトレンドを踏まえ、当社としては単に天然由来といったイメージ訴求ではなく、今後も機能性を重視した天然原料の提案に注力していきたい」(平地氏)