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    東洋ビューティ・岩瀬史明社長、成長戦略を語る

    化粧品ODM/OEMの国内大手である東洋ビューティは、80期を迎えた5月1日付で岩瀬史明氏が社長に就任し、新体制で5カ年経営計画をスタートした。同社は、2010年度(11年4月期)から19年度(20年4月期)までの10年で売上高が約2.5倍、社員数も4倍強に増えるなど企業として大きな進化を遂げている。前中計で掲げた「100年繁栄し続ける企業」の実現に向け、20年5月からスタートした今期を「創業期」と位置づけ、原点を見つめ直し、さらなる飛躍につなげる。

    「創業者の精神」を継承し、未来創造への基盤整備を推進


    代表取締役社長 岩瀬 史明 氏

     ――5月1日に社長に就任され、新5カ年経営計画がスタートしました。今の率直なお気持ちをお聞かせください。

     岩瀬 前中計から節目となる80期を「新たな創業期」と位置づけ、新体制を整えて準備を進めてきた。特に最終年度の79期は、1年間かけて「東洋ビューティとして、これからありたい姿」をテーマに社員とともに考えてきた。

     前中計では「100年繁栄し続ける企業」を掲げて取り組んできた。新中計では、100年企業となる20年後に、会社として「こうありたい」という想いをより鮮明にしようということで、第1フェーズでは執行役員と部長クラス、第2フェーズでは課長クラスまで巻き込んで意見を出し合ってきた。

     100年企業を目指す新たな経営ビジョンを「世界最良のODM企業となる」とし、その実現のための重要な課題を抽出し、新5カ年計画を立てた。SDGsに対する取り組みなども盛り込んでいる。

     同時に、大きく組織改革を行い、合わせて各制度も見直す。未来創造の土台となる重要な5カ年であり、特に初年度は重要だと捉えている。

     ――「新たな創業期」として経営ビジョンとともに社是・社訓なども新たに策定されました。

     岩瀬 東洋ビューティとしてこれから先も成長拡大し続けていくには、創業者が大事にしていた思想や考えが、全社員に浸透していくことが重要だと考え、社是「和と進歩」と社訓「誠実・創意・研鑽」を新たに策定した。

     企業も創業から80年が経てば、創業者である岩瀬健次郎を知らない社員が大半を占める。私自身、祖父としての姿は鮮明に覚えているが、実際に仕事をしている姿は、まだ幼かったため、よく覚えていない。

     社是・社訓は「創業者の精神」として、全社員が持っておくべき土台という想いを込めた。組織が大きくなっても、大事にするべき当社の根源のようなものである。

     私は自分のことを、周囲をぐいぐい引っ張っていくより、周りを巻き込んでいくタイプだと思っているが、振り返れば、創業者をはじめ代々社長たちもそうだった。

     「あんじょうきばりや、やってみなはれ」。そんな企業風土のようなものが当社には根づいている。社是・社訓にはそうした風土のようなものも大事にしていきたいという想いも込めた。その精神を基に経営理念である「美と健康への想いをかたちにし、笑顔あふれる未来をつくる」ことを実現していく。

     企業の文化や風土を創っていくのは人である。人の成長が企業の成長につながる。

     就任時から、社員には「自ら考えて動ける集団に、そして、お互いを思い合い、助け合い、学び合う集団になろう」と伝えている。

     今回、クレドブックとして作成し、全社員に配布する。これから理念浸透を図っていく。

    「ODM」の付加価値を追求し、「東洋ビューティ品質」を世界へ

     ――新5カ年計画の骨格をお聞かせください。 

     岩瀬 新たな経営ビジョンとして掲げた「世界最良のODM企業となる」ための基盤づくりを進める。

     当社が1975年にOEM専業へと事業転換して成長を続けてこられたのは、安心・安全な製品品質を礎にしてきたからである。ODM化に向けて本格的に取り組み始めて10年以上になるが、安全・高品質を最重視して推進している。

     近年、「ODM」という言葉が浸透し、その考え方も多様化している。当社も今回を機に「ODMとは」と問いかけ、追求していくべきODMの形を考えていった。

     「ODM」は、製品の企画設計から開発、製造までのトータルプロデュース業になるが、当社はそこに、相手先の期待値を上回ることによる「感動の提供」をプラスしたODMを目指していく。

     期待を超えてきたという感動が、相手先のさらなる創作意欲を掻き立て、また当社と一緒に取り組んでいただけることになる。そうした相手先を増やすことが、「世界最良」への道を拓くと信じ、取り組んでいく。

     ――「世界最良」と掲げる以上、海外事業の育成も欠かせません。

     岩瀬 化粧品ODMとしての海外ビジネスは、現地に工場を建設し、ローカライズすることも戦略の一つではあるが、国内製造での最良品質で考えている。組織改革では新たに「海外営業部」として部門化した。

     ODM案件は「東洋ビューティ品質」への評価であり、国内の研究員が開発し、国内の工場で作ったものを提供する。海外市場の開拓・進行もそこにはこだわって挑戦していきたい。「東洋ビューティで化粧品を作りたい」。そう思っていただける企業を海外にも広げていく。

     当社は、最近10年間で大きく業績を伸ばし、成長期を迎えている。

     振り返ると、2011年4月期(2010年度)に売上高100億円の達成がみえていた。同年3月に東日本大震災により宇都宮(第一・第二)工場・研究所(栃木県)が被災した影響で、わずかに大台には届かなかったが、それから9年後の前期(20年4月期)売上高は、10年度比で約2.5倍の255億円、社員数にいたっては4倍強の880名に増えている。

     化粧品業界を取り巻く環境の変化とともに、ODM/OEM業界全体が成長拡大し、当社もその流れに乗り成長期を迎えることができた。特に前中計期間では急成長となり、企業の規模感に合った人事制度や組織体制の構造改革の必要性が重要課題となった。

     だが、成長期というのは、いたるところに「成長痛」のようなものが発症する。会社も社員も悲鳴をあげている状態でもあった。

     前中計は化粧品のインバウンド消費が大きく伸長した時期でもあった。特に2017~18年にかけて、上野工場(三重県)と宇都宮工場は、社員の残業時間が増え、製造に追われる状況が続いた。そうした製造環境では、小さなミスや失敗が増え、不良率も上がってしまう。

     環境改善のために、早期に新しい工場をつくり、生産移管を進め、生産バランスの適正化を図る必要があった。

    社員が誇れる企業、地域から愛される企業を目指して

     

    ――その新工場として佐賀工場が昨年4月に竣工しました。19年から国内インバウンドの減速感が進み、着工当初の計画とは異なる状況かと思います。 

     岩瀬 当初の見通しは、既存工場の負荷軽減を図るとともに、イン&アウトバウンド消費が拡大していく最中、東京五輪が20年夏に予定どおりに開催されてピークを迎え、国内供給量の増大に対応していくことで、佐賀工場の生産拡大を図っていくというものだった。

     当初計画とは異なるが、今年に入って世界規模でコロナ感染拡大の影響で製造業が厳しい状況を迎えている。そうなる前に、新工場スタッフの研修を半年間かけて行い、1年前に稼働してきたことは、今、こうした状況を迎えて結果的に良かったと思えている。

     そもそも、佐賀工場の建設は震災で宇都宮工場が被災したことを受けてすぐに計画をスタートした。当時は、設備関連業者のおかげで、第二工場が約1カ月、第一工場が約2カ月という早期に復旧することができたが、それでも復旧期間中、上野工場の稼働率は通常時の200%という状況が続き、西日本エリアに候補地を探し始めた。

     佐賀工場は、「み(魅)せる工場」をテーマに、ガラス張りで見学者通路を設けたオープンで明るい雰囲気を重視した。取引先や仕入業者はもとより、地域の方々にも当社がどのような会社であるかを知ってもらえるよう、オープンな工場を目指した。工場内は小中学校の課外学習の受け入れや、夏休みの宿題などに活かせる化粧品づくりのイベントも計画している。

     一方で、社員が「通いたくなる工場、働いていて楽しい工場」という副テーマを持って設計した。

     工場内には、創業期から現在までの当社の歴史を辿ることができるミュージアムや、ボルダリングや卓球、ビリヤードなどを設置した休憩スペースも設けている。また、ミュージアムや見学通路には、化粧品ができるまでの流れや、当社が関わってきている商品を展示している。

     自分たちが携わっている化粧品がどのような流れで作られ、生活者のもとに届いているのかを理解してもらうことは重要だと考えている。映し出される情報を見て、自分たちがその製品を作っているという意識を持ち、仕事のモチベーションにしてもらいたい。

     その一環で、佐賀工場では、社員の家族を招待し、実際に働いている様子を見学してもらう機会を設けている。

     ODM/OEMという特性上、一般の方に当社のことを知ってもらう機会は少ない。家族の働いている環境やその仕事内容を見て、安心してもらうとともに、社員自身にも当社の社員としての自信や誇りを持ってもらいたい。

     また、直近では、社員たちにとって大きな励みにもなった取り組み事例ができた。普段は表舞台に立つことがない当社だが、コロナ感染拡大を受け、同業者をはじめ容器・パッケージ会社の8社と協力し、感染対策の支援活動に取り組んだ。

     ――自治体などにアルコール配合製品を無償配布された支援活動のことですね。

     岩瀬 化粧品の開発・製造に携わる企業として、何かできることがないかと考えていた。

     日頃より、化粧品業界は他業界に比べ、同業者同士の仲が良い業界だと感じていた。仲が良いからこそ、競い合い、困った時には助け合える。そうした横の関係性が業界の発展に貢献している部分も大きいと感じている。今回の事業は、それを象徴するような取り組みだった。

     当社ではアルコール配合製品「ハンドクリーンローション」をつくり、まず社員とその家族から、続いて事業所や工場のある自治体や医療・介護・教育施設などに計15万本以上を無償提供させていただいた。

     配布先はもとより、自治体を通じて配布された様々な施設から、各事業所には感謝状や手紙が届いている。工場で働く社員の皆さんからも、携わった製品が多くの生活者に喜んでもらえたことを実感するとともに、日々携わっている製品もまた、たくさんの生活者の役に立っていることに改めて気づき、仕事の励みになったとの声もあり、とても嬉しい出来事であった。

     1つひとつの製品に想いを込めて送り出し、笑顔溢れる未来を、全社員一丸となって創っていきたい。

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