—まず、御社がOEM製造を行っていくうえで、お客様に提供できる最大の「強み」をお聞かせください。
弊社は、主に基礎化粧品のOEM提供を、特に小ロット対応専門(minロット:300~)で行っております。ご質問に対する答えとしまして、月並みなことであれば、日々新しい処方や成分の研究開発を積極的に行っており、お客様ごとにオリジナル化粧品をご提案できるように努めていることになると思いますが、それは同業者さんも程度の差こそあれ、皆さん行われていることだと思います。むしろ、当社から提供できる一番の「強み」は、製品ももちろんですが製品以外の「ソフト面」です。
—製品以外の「ソフト面」ですか。製品をOEM提供するうえで付加価値となる部分だと思いますが、具体的にはどんなことでしょうか。
具体的には、例えばよく発売元さんから、化粧品を販売する際に販促のために利用したいので、製品もしくは原料素材についてのデータが欲しい、とのご要望をいただくことがあります。もちろん、「売る」ためのツールとしては、薬事法上言えることと言えないことがあり、制限を守らないといけません。しかし、こと新製品の発表会などで紹介するケースでは、原料素材の特性など、薬事法に抵触しないデータを基に話をする必要がありますので、そういった情報を資料としてまとめて提供したり、私自身がそのような場で説明して差し上げることもあります。 今お話したことは、ごく一例ですが、要するに当社のお客様である発売元さんが売るためのヘルプを「ソフト面」で提供させていただいております。
—なるほど。製品に付随する情報で、且つ、販促に役立つような情報を提供するという意味での「ソフト面」ですね。差し支えない範囲で構いませんが、今おっしゃった内容の一例をお聞かせいただけますか?
例えば配合する原料、すなわちコンセプトとするエキスの、肌への効果・効能に関する専門的なデータを基にして、お客様にわかりやすいように情報提供しております。場合によっては、モニターをかけて使用感や実際の効果・効能に関するデータを取得し、それをわかりやすくまとめて情報として提供しております。当社が提供しますデータ・情報は、原料メーカーさんがお持ちの情報以外で私どもの研究結果から実際に得られたデータになります。
—肌への効果・効能を自社で検証されているのですね。ちなみに、モニターの方のご協力を受けて使用試験やパッチテストを行うことも可能なのですか?
もちろん可能です。これは発売元さんからのご要望次第ですが、使用試験をかけて製品の肌に対する安全性を見ていきます。場合によっては、クリニックなどの医療機関へ依頼して、パッチテストを行うことも可能です。パッチテストは社内で行われている企業さんもいらっしゃると思いますが、やはり社内の人間だけでは公的な信頼性にかける場合もあるため、外部へ依頼してもできます。
—発売元企業さんのマーケティングの一環として、クリニックさんへ依頼することによってモニター試験を行うことも可能ということですね。ちなみに御社はクリニックさんとのネットワークが豊富なのですか?。
そうですね。豊富かどうかはともかく、先ほど申し上げましたようなことで、いくつかのクリニックさんとは提携させて頂いております。先ほどの繰り返しで恐縮ですが、発売元さんのご要望次第で、提携クリニックさんと共同で製品に関するパッチテストを実施して安全性を検証しております。他にも、使用感や肌への効果・効能に関するデータを入手し、それらをまとめて製品情報として提供することができます。 そういったことを可能にする提携ネットワークも、当社の「強み」である「ソフト面」だと思っております。
—おっしゃるように質の高い「ソフト面」でのサービスを提供されていると思います。クリニックさん、いわゆる医療機関と提携して、前述の「ソフト面」でのサービスを展開されていることは、御社の処方開発の特長にもなっているのではないかと想像できるのですが、その点はいかがでしょうか?
おっしゃるように、処方開発面での影響も大いにあると思います。当社は、お客様である発売元さんに対して、より高付加価値の化粧品をお作りしたいという思いのもと、日夜独自のテーマを持って新処方の開発に取り組んでおります。新しいモノづくりの発想、開発の道筋に対して、提携クリニックさんとのお付き合いから得られた情報が、経験として良い影響を及ぼしていると思います。
—独自のテーマを持って新処方を開発されているとのことですが、例えばどんなものがありますか?
基本的には、新規原料素材が出た際に、その原料を基にして新しい処方を開発しております。我々OEM会社には、常に新しい原料に関する情報が入ってきますので、その都度新しい原料を使用し、効果性、安定性を中心テーマとして処方を開発しております。開発している新処方の安定性が良ければ、いろいろなモノを添加することも可能ですから、そこからのバリエーションも広がっていくという具合に開発を進めております。 最終的には、いわゆるベースとなる処方を、半製品のような形でパッケージとして当社提案処方のバリエーションとして加えていくことが目的です。それら数多くのパッケージ処方から、発売元さんのご要望に合わせて、効果性の面では配合エキスを決定し、使用感の面では改良を重ねてご希望の使用感に近づけていく、といった流れで発売元さん毎のオリジナル製品・処方として提供しております。
—なるほど。御社の処方開発の流れ、開発理念が理解できました。日々独自に研究開発された処方は、今おっしゃった流れでOEM提供されているのですね。
そうですね。自分たちで開発した新たな処方は、いつかは日の目を見てもらいたいですから、その中から自信のある処方はお客様へ積極的に提案することを目標としております。お客様のご要望も考慮しつつ、こちらからも自信を持ってアピール・提案していくことが、作り手側としての発売元さんに対するサービスと考えております。
—おっしゃるとおり、お話を伺っていても作り手としての拘りを感じます。 話は変わりますが御社のOEM化粧品は、皮膚科などのクリニックさんに採用されるケースが多いのでしょうか?他の媒体ですが、御社はいわゆる“ドクターズコスメ”の開発を多く手がけておられるとの記事を拝見しました。
どういった化粧品がドクターズコスメなのか範疇が難しいところですが、確かにドクターが好まれる処方・製品づくりも、冒頭から申し上げております「ソフト面」と同様に得意としております。実際にクリニックさんへ提供している製品も多いのは事実ですね。 例えば、クリニックでの施術後のアフターケアに対応した商品として、改善した肌状態の維持を目的とした機能性基礎化粧品をシリーズとして提供させていただいております。 これまでお話してきました内容も含め、OEM会社として個性があるとすれば、当社はクリニックのお客様の割合が多いことが個性・特徴になると思います。
—おっしゃるとおりで、クリニックさんとのネットワークをお持ちであるのと同様、それはまさしく御社の個性であるとともに「強み」であると思います。それでは最後に今後のビジョン、目標をお聞かせ願いますか。
高老齢化社会といわれる今日、全ての人々が常に健康を保ち、美しさを保つことにより、年齢にかかわりなく明るく、楽しく、前向きに人生を謳歌し、心の充足(充実と満足)が得られるような、多くの皆様に喜んでいただける製品造りに努めてまいりたいと考えます。