「少子高齢化社会を迎えた日本の主役は犬・猫といったペットである」。そう言い切っても非難されない世の中になってきたと思う。 そうなると夏目漱石はやはり偉大だなどと脇道にそれてしまいそうだが、冒頭の思いを確信に変えるような名古屋大学発のベンチャー、J―ARMという会社がある。獣医再生医療を手がけるパイオニア企業だ。 代表を務める岡田氏は、大学卒業後の進路に選んだ名古屋大学医学部で「再生医療」と出会い、その可能性に惚れ込み研究をスタートした。 同志たちが革新的な新薬開発を目指してバイオベンチャーを立ち上げていく中、敢えて「薬にしない再生医療」の道を選択した。 「性格的に一発逆転満塁サヨナラホームランを狙うよりも、1回表からバントしながら点を重ねる方が向いていた。一旦『薬にしない』と決めると、自ずと参入できる分野が絞られてきた」 着目したのは、保険が適用されない自由診療だ。その治療や薬に、細胞培養などの再生医療を活かそうと考えた。