世界の美容製品パッケージトレンドーテクノロジーの活用やリサイクルを促すインセンティブ、復刻トレンドなどを例に

世界の美容製品パッケージトレンド

美容製品のパッケージは長きにわたり、華やかさと洗練された美の象徴として機能してきました。古代の香水瓶もすでに、ガラスやテラコッタなどを用いて様々な美しい形に造られていました。製品が人を美しくするというのであれば、その製品自体が魅力的であるべきだと多くの人は考えています。一方、現代ではAIテクノロジーが美容製品のパッケージデザインの可能性をますます広げています。例えば、The House of Guerlainは創立170周年を記念して、アイコニックな蜂のボトルを1853年の設立当時から2193年の未来までAIを活用して表現し、デジタル展示しています。

透明性とテクノロジー

AIを用いることにより美容製品のパッケージ製造工程は効率化され、消費者が製品の利点を最大限受け取ることにつながります。例えば、AIがサステナビリティの大切さを理解することにより、「クワイエット・サステナビリティ-Quiet Sustainability」(控えめなサステナビリティ)、つまり環境への配慮が「付加価値」ではなく「本来備わっているもの」、ひいては製品の最も大切な要素とみなされるトレンドが生まれるとミンテルは予測しています。2023年にはフレグランス新製品の41%が倫理・環境訴求を掲げていましたが、2019年時点ではわずか18%でした。同トレンドの「クワイエット-Quiet」(控えめ)は、サステナビリティによって高級製品の見た目が損なわれてほしくないという消費者の意向を反映しています。パッケージメーカーには、美しさを妥協することなく製品全体にサステナビリティを取り入れることが求められています。

Bastille ParfumsはRFIDテクノロジーを活用することで、フレグランス製品で明確な情報開示を行っています。同社のParadis Nuit Eau de ParfumにはボトルにQRコードが記載されており、これを読み取ることでボトルに含まれるすべての成分の由来、パッケージのメーカー名、ボトル詰めされた日付など、製品のライフサイクル全体を確認することができます。

クリーンで洗練されたパッケージ

美容・化粧品業界におけるクワイエット・サステナビリティのトレンドと密接に関連しているのが、クリーンでシンプルな洗練されたパッケージです。消費者は製品を購入する際に重視しているのは製品の機能性です。「クワイエット・ビューティ-Quiet Beauty」(控えめな美しさ)を打ち出すパッケージの例として、「美容ルーティンの簡素化」をミッションに掲げるスキンケアブランドMalin + Goetzが挙げられます。同社のすっきりとした見た目のパッケージは、不要な素材を排除するために絶えずリニューアルを繰り返しており、そのデザインはエレガントで現代的です。消費者は表面的な飾りではなく、製品の魅力に基づいて購入を決める傾向が高まっており、Malin + Goetzの例はこのような傾向とマッチしています。

消費者へのリサイクルインセンティブ

パッケージへの関心が高まっている主な理由の一つに、リサイクルへのインセンティブがあります。例えば、Charlotte Tilburyは一部の製品でシンプルなリサイクルプログラムを開始しました。同プログラムでは、消費者がオンラインのリサイクルポータルにアクセスし、無料の返送ラベルが送付されるフォームに記入するだけで、新しい詰め替え用モイスチャライザーが20%引になるコードが手に入ります。Charlotte Tilburyの競合企業(Glossier、ロレアル、エスティ ローダー、Anastasia Beverly Hills、Hourglassなど)の多くは、消費者に十分なインセンティブを届けるプログラムをまだ導入していません。企業は、ブランディング、製品、成分だけでなく、使用後の製品の行く末も考慮に入れなければいけません。

伝統から着想を得たパッケージデザイン

最後にご紹介するトレンドは、すでにご存じの「ノスタルジー」トレンドからさらに一歩進んだ、伝統からインスパイアされたパッケージデザインの復刻トレンドです。これは、特にフレグランスのカテゴリーにみられます。控えめでシンプルな美容製品パッケージを求める声と並行して、社会的・歴史的な「懐かしさ」に訴えるデザインを活用した同トレンドは、若い消費者世代にとって個人的なつながりを感じさせることはできなくとも、「今はなきもの」や「古き日の豪華主義」を示す象徴となっています。Officine Universelle Bulyは「先祖から伝わる美」をブランドの軸に据え、パッケージには金のアクセントを加えた繊細な古典絵画を取り入れており、どのようなメイクポーチに入れても際立つ美しさが特徴です。また、同ブランドは代々伝わる技術や処方からヒントを得た成分を活用しており、先ほどご紹介したクワイエット・ビューティの要素も含まれています。こうした何世代にもわたって認められてきた成分は、今なお説得力があるのです。

ミンテルとともに未来を見据える

消費者は美容製品に対してますます機能性を求めるようになっており、パッケージはこうしたマーケティングメッセージを伝える最もダイレクトな手段となっています。ミンテルは、多くのブランドがまず基本に立ち返り、予算配分を戦略的に見直しながら、重要なことに集中投資するようになると予測しています。例えば製品のライフサイクル全体を改善するといった根本的なことへの投資です。投資の取捨選択により近い将来、AIによる生成画像や伝統から着想を得たデザインを起用した華やかな美容製品パッケージが数多く登場することでしょう。

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