家庭でのセルフヘアカラーは、インドで最も根強いヘアカラートレンドの一つです。インドの消費者の大多数は家庭でのセルフカラーを好み、その半数以上は白髪染めを目的としています。消費者は、利便性、スピード、シンプルさを重視するようになっており、インドのヘアカラー市場の企業にとっては、革新的な製品のフォーマットを探る絶好の機会が生まれています。
一方、インドのヘアカラー市場の企業は、カラー剤による頭皮や肌への刺激、髪の乾燥やダメージへの懸念から髪を染めなくなった(過去12か月に髪を染めていないと回答する)旧ユーザーを取り戻さなければならないという課題にも直面しています。
自宅での白髪染めでは、利便性と色持ちのよさが最も重要視されています。特にインドのX世代の間では、白髪をカバーすることがヘアカラーの主な目的となっています。この世代では、加齢に伴い自然と白髪が目立つようになっていきます。X世代の3分の2近くは、セルフヘアカラー製品を選ぶ際に使いやすさを優先し、若々しい外見を保とうと努力しています。
企業は、このカテゴリーにおける利便性の高さと時間節約のメリットを強調することで、消費者のライフスタイルの変化に寄り添うことができるでしょう。例えば、Indica Easy Shampoo Hair Colourは、マルチユースのポンプ式パッケージに再利用可能な手袋が2組付属しており、手軽でストレスフリーなカラーリング体験を実現しています。
利便性を重要視する志向は、白髪カバーのためのリタッチの頻度を最小限に抑えたいという意識にもつながります。そのため、色持ちのよさもセルフカラーを使用するX世代が重視するトップ3の要素の一つとなっています。ミンテルGNPDによると、2022年10月から2023年9月の間にインドで発売されたヘアカラーの71%が色持ちのよさを訴求しています。
また、地毛の髪色にマッチする製品を新たに開発することで、頻繁なリタッチが不要になり、ヘアカラーのメンテナンスにかかる時間・労力を減らすこともできます。例えば、Godrej Expert Rich Crèmeは、インド人の自然な髪色に対応する幅広いカラーを展開しており、消費者は自分の髪色に近いカラーを見つけることができます。
過去にヘアカラーを使用していたユーザーを呼び戻すためには、保護訴求とナチュラルで安全な成分がカギとなります。ヘアカラーを使用しなくなった消費者の半数以上は、カラーリング後の髪をケアするための製品が不足していると考えています。さらに、この層の約4割が、ヘアカラーをすると髪が非常に乾燥すると感じています。インドのヘアカラー市場の企業がこうしたユーザーを再び取り戻すためには、保湿や抜け毛防止などの保護訴求に重点を置き、ナチュラルで安全かつクリーンな成分の使用を強調する必要があるでしょう。
インドのヘアカラー剤新製品では、植物・ハーブ由来の成分使用がメジャーな訴求となっていますが、企業はパラベンフリーやヴィーガン処方など、インドではまだニッチな「クリーン」訴求のイノベーションに取り組むことで、カラー剤をより安全なものとして位置づけることができるでしょう。また、製品ラインを拡大し、包括的なヘアケアソリューションを取り入れることも、こうした消費者へのアピールになります。例えば、カラー前のトリートメントを提供することで、染める前の髪の状態を整え、色を入りやすくしながらカラー剤によるダメージを減らし、髪の健康をサポートすることができます。
その他にも、強力なカラー剤やブリーチにさらされた髪の修復・ケアに特化したディープコンディショニングマスク、洗い流さないトリートメント、ヘアセラムなどのカラー後に使う製品も、こうした消費者を再び惹きつけることができるでしょう。
インドでは、目を惹くファッショナブルなヘアカラーに対する消費者の関心が高まっています。企業はこのトレンドを活用し、自宅でのセルフカラーをよりダイナミックで楽しめる体験にするような斬新な製品フォーマットを導入することができます。さらに、企業は包括的なソリューションへと方向転換することで、消費者が新しい髪色を長く楽しみ、髪全体の健康を保てるような製品ラインを提供することができるでしょう。
ビューティ・パーソナルケア製品における天然成分の人気の高まりに影響を受け、自宅でのセルフカラー剤においても、天然成分へのニーズは消費者の購買決定に影響を与えるトップ3の要因の一つになっています。ミンテルの調査によると、天然成分を使いやすいフォーマットの製品に取り入れることで、企業のリーチを18%拡大し、78%のヘアカラーユーザーを取り込むことができると示唆されています。
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