—まず御社が、OEM製造会社として最も力を入れておられることをお聞かせください。
当社は、何よりも顧客である販売会社さんのあらゆる要望に対して迅速に対応することに注力しております。ご存知のとおり、化粧品は季節ごとに商品がリニューアルされるケースが多いという特徴があります。ですから、当社ではOEM製造会社としまして、お客様の新商品発売時期に合わせて迅速な納期面での対応を心がけております。そのために、特に工場の設備投資を積極的に行っております。
—納期面での迅速な対応は、製造業として最も重要で、かつ、難しい部分だと思います。 迅速な対応を可能にしている御社の設備投資面についてお聞かせいただけますか。
まず、当社は「設備投資力=技術力」だと考えております。 当社の技術力である設備投資について、大きく3つの特長をお話しいたします。 まず1つ目の特長ですが、当社の工場をご覧いただければお分かりになるかと思いますが、多種多様な品目、幅広いロット・生産量に対応可能な、製造設備および充填包装設備・検査機器類を備えている点です。 われわれ製造業は、「技術」と「品質」を売り物としなければなりません。その点で当社は、多様な受注案件に対応可能な製造設備、充填包装設備を保有することができる「技術」を売り物として考えております。
—具体的にはどのような設備を備えておられるのですか?
具体的には、充填包装設備では大量生産に対応するための高速自動ラインから、小ロット対応のための手作業ラインまで幅広く備えております。 弊社のお客様は、ナショナルブランドの大手制度品メーカー様から高級志向の製品を販売されている中小の企業様まで本当に幅広くいらっしゃいます。大手制度品メーカー様からのお仕事であれば、受注量が大きいですから必然的にラインは自動化しなければなりませんし、高級品を販売される中小のお客様であれば、多品種小ロットでバリエーション豊富な包装形態に対応しなければなりません。そういった理由から、弊社はあらゆるお客様・案件に対応できる設備を備えております。
—あらゆる品目、受注量に対応可能な製造ライン、充填ラインをお持ちという点が、御社の「技術力」であり、「強み」でもあるのですね。
おっしゃるとおりです。 続いて2つ目の特長ですが、単に様々な品目を製造することができるというだけでなく、同業他社にない、特殊な品目を製造するための設備・ラインを保有している点です。1つ目の特長である多彩な製造設備の保有と併せて、当社の「技術力」と捉えていますね。 新たな設備投資の例として挙げると、今年の10月に現在流行しつつあるシートマスクを製造するための高速自動ラインを設置する予定です。シートマスクの高速自動ラインを保有している同業者は少ないですから、その点で他社との差別化を図っております。
—なるほど。あらゆる案件に対応できる設備に加え、プラスαとして、特殊な案件にも対応できるよう、設備投資を積極的に行われているのですね。しかし、設備投資にかかるコスト面での問題もあると思いますが、そこまで積極的に設備投資を行える秘訣はどのあたりでしょうか?
そこが3つ目の特長になるのですが、当社には積極的な設備投資を可能にする、他社にない「技術力」があります。それは、機械メーカーと共同開発を行い、設備を導入できる点です。 機械メーカーと共同開発を行うことで、機械メーカーさんに全て機械を丸ごと発注する通常の設備投資よりもコストを抑えることができます。また、納期を短縮することができる、つまり設備導入までの期間が短くなる点も合わせて2つのメリットをもたらしていますね。したがって当社は、同業他社さんが容易に保有できない特殊な設備を積極的に導入することが可能なのです。
—新たな設備投資の際ももちろんですが、既存の設備の修理期間も短くなるでしょうから、その点でもメリットが大きいと思います。製造設備への積極的な投資と、それを可能にする「技術力」が御社の競合優位性なのですね。製造業としてのこだわりを感じます。では、話は変わりますが、営業面での特長をお聞かせください。
当社の営業面での特長は、幅広い顧客層に対して、化粧品の企画からオリジナル処方開発、資材調達、製造までを一貫してトータルサポートする体制が整っている点ですね。 先ほどもお話しましたが、当社のお客様は企業規模で申し上げても、個人の方から中小メーカーさん、それから大手制度品メーカーさんまで本当に幅広いです。あくまで企業規模についてですが、それだけ多様な企業様とお取引させていただいてきましたので、いかようなケースにも対応可能な体制と、経験を持っていると自負しております。 特に、中小メーカーさんで、製造販売業許可をお持ちでないお客様に対しても、当社が製造販売元になり、薬事法関連の手続きも含めてトータルでサポートさせていただいております。
—それだけ多様なお客様へのOEM提供をご経験されているということで、ご対応いただける案件の形態も多様なのですね。
そうですね。お客様からの製造依頼の形態も様々ですね。 先ほど申しましたように、お客様のオリジナル処方の開発から製造までの一貫したOEM製造も可能ですし、パウチや特殊な容器への充填作業のみの案件にも対応させていただいております。そういった意味で、業界を見渡しても当社は、かなり幅広い依頼に対応できる製造会社だと思いますね。
—御社の工場を拝見してみて思ったのですが、本当に様々な設備、ラインをお持ちですから、おっしゃるとおり、多様な案件にご対応可能な体制を整えておられると思います。では、品質面に対するお考えを伺えますか?
製造会社ですから、品質面には最も気を配っております。我々は製造業として、品質のいいものを、適正な価格でユーザーに提供するということを信念としております。 その信念のもとに、高品質な製品を提供するためのマネジメント体制を整えております。具体的には、品質マネジメントシステムの国際規格である「ISO9001」、それから環境マネジメントシステムの国際規格「ISO14001」の認証取得に加えて、労働安全衛生マネジメントシステムの国際認証規格である「OHSAS18001」も取得しております。お客様に安心して当社へ発注していただけるように、品質面、それから環境面、従業員にたいする労働安全面について、認証を受け、企業活動を行っております。
—OHSAS18001を化粧品の製造工場でお持ちのケースは珍しいですね。ちなみにGMPについてはいかがですか?
確かに化粧品の工場で「OHSAS18001」を認証取得しているのは珍しいでしょうね。当社としては、従業員が安全に働くことができる環境を整えることも、お客様に品質のいい製品を提供する上で重要な要素だと考えております。 当然GMPにつきましても、化粧品ですから自主基準ではありますが、それに則っております。クリーンルームに関しましても、クラス10,000レベルですが備えております。
—さすがですね。高品質な製品を提供するための管理体制については申し分ないですね。 それでは最後になりますが、今後のビジョンがあればお聞かせください。
当社としては、時代の変化にスピーディーに対応できる製造会社として、市場のニーズに的確、かつ、迅速に応えられる企業でありたいと考えております。反面、これまでと同様に、品質のいいものを適正な価格でユーザーへ提供するという方針は変わらないですね。 当社は創業から、頭髪化粧品などのトイレタリー製品の製造をメインとして事業活動を行ってきた経緯があります。したがってトイレタリーという製品の傾向から、大量生産を得意としていたのですが、近年は基礎化粧品や、シャンプーなどのヘアケア製品のOEM製造が主な事業になっており、さらに、大量生産の割合も減少し、小ロット生産の割合が高まってきております。現在は大量生産・大量消費の時代ではなく、消費の多様化による多品種少量生産の時代です。この傾向は今後さらに加速するでしょうから、これまでと同様に、時代の変化に対応し、設備投資の面などから、当社も変化を続けていかなければならないと考えております。その反面、今までと変わらず高品質な製品を提供するという、普遍的な要素も兼ね備えた企業でなければならないと考えております。