5-a処方決定 化粧品OEM製造メーカー決定

化粧品OEM講座

前ページまでで、皆さんが化粧品の製造を委託するOEMメーカー候補ががいくつかに絞られたかと思います。また、皆さんが作りたいオリジナル化粧品のイメージも、おおよそ化粧品OEM製造会社さんに伝えている状況だと思います。ここでは、具体的に"どんなものを作るのか"というイメージ(商品コンセプト)を、OEM製造会社さんとすり合わせて、皆さんオリジナルの化粧品を、化粧品OEM製造会社さんと共同で開発していくことになります。

以下のポイントを念頭に置きつつ、OEM製造会社さんの開発スタンスを確認・理解しながら、細かな部分まで皆さんの要望を伝えておきましょう。

押さえておくべきポイント

可能であれば工場見学しておくこと

これは、皆さん気になるところでしょうから、改めて述べる必要はありませんね。皆さんのオリジナル化粧品です。大事なお客様が使う化粧品です。どんな工場で、どのように作られるのかを、前もって見ておいて損は無いはずです。

品質規格を確認しておく

品質規格は一概にこれという決まりはありません。

皆さんと化粧品OEM製造メーカーさんとの間で、納品された化粧品(製品)の品質に関する認識を共有するための既定になります。化粧品の製造・生産は、いろいろな製造過程、生産過程を経ることになります。

また、機械で自動的に行う行程があったり、人間の手で行う作業工程もあります。そうして製品化された化粧品には、当然ですが、品質に多少の誤差が生じるものです。

品質規格とは、その生じた品質の誤差を、お互いがどの程度製品として認めるのかを既定したもののことです。

したがって、皆さんは化粧品OEM製造メーカーに、あらかじめ確認し、「製品として納品される化粧品は、この規格を満たしたものになる」という認識を、共有しておく必要があります。

どのOEM製造メーカーさんも、品質規格は定めているはずです。この段階で、化粧品OEM製造メーカーさんにお願いすれば、品質規格を提出してもらえるはずですから、確認して要望があれば、あらかじめ話し合っておくべきでしょう。

安定性試験の確認

安定性試験の内容については、難解なため詳細を割愛させて頂きます。

簡単に解説しますと、化粧品は薬事法で、使用期限を明記していないものは製造してから(常温で)3年間は安定でなければならないとされています。クリームや乳液などの乳化物が経時変化で、3年以内で分離することのないように、また微生物による腐敗等を確認するための試験になります。

安定性試験は、薬事法で義務付けられている試験であるため、行われているのかどうかを確認しておく必要があります。

保存効力試験の確認

化粧品に絶対的に必要となるもの、それが防腐です。流通されている間はもちろんですが、特に開封後の微生物混入による腐敗から化粧品を守ることが重要となり、そのためには防腐剤の添加が必須となります。しかし、防腐剤を添加することで必ずしも製品が腐敗しないとはいいきれません。

化粧品開発においては、その種類や使用原料などにより、添加する防腐剤の種類や濃度などをコントロールする必要があるのです。そして適切にコントロールされた製品は、「保存効力試験法」という評価試験を行うことで防腐力が数値化され、製品の防腐力を視覚化することが可能となります。

要するに、カビなどあらゆる菌や微生物から化粧品を守ることができるかどうかを判定するのです。少々難しい話になってしまいますが、世界に2つと無い皆さんオリジナルの化粧品が、腐る危険性について調べてもらうということです。したがって、皆さんが化粧品の製造・生産を委託するOEM製造会社さんに、保存効力試験が行われているのかどうかを確認しておくと良いでしょう。

保存効力試験とは?

保存効力試験法とは、化粧品に配合されている防腐剤の効力を調べるために、人為的に微生物を混入させ、その生育状況を観察するという微生物学的評価のことをいいます。この試験法は日本薬局方にも記載されている方法で、試験期間は準備期間を含め約2ヶ月と長期間を必要とします。日本薬局方では、試験に使用する菌株種について、大腸菌・緑膿菌・黄色ブドウ球菌・カンジダ・黒コウジカビといった、いずれも生活環境中から混入する恐れのある微生物を指定しています。

肌にとってもより安全な化粧品を作るために

保存効力試験法は製品の防腐力を調べることができることから、より安全な製品設計を行う手段としても利用することができます。すなわち、防腐に必要とする防腐剤の最低濃度を導き出すことにより、過剰な防腐剤の添加を防ぐことができ、皮膚への負担を軽減することが可能になる、ということです。

取引契約書の締結

上記で挙げたようなポイントを考慮した上で、製造委託先OEM会社を決定したら、最終段階である製品化へ向けて、"取引契約書"を交わします。

契約内容や契約書の様式については、基本的には相手先のOEM製造メーカーさんとの協議で決まることになります。OEM会社さんから提出される契約書とその内容を充分に考慮し、取引契約を締結することになります。

以上で、「処方決定・化粧品OEM製造メーカー決定」の解説は終了です。

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