6化粧品OEM製造メーカーの役割

化粧品OEM講座

化粧品OEM製造メーカーの役割

化粧品OEM製造メーカーとは、化粧品の製造を専門とする会社で、主に他社ブランドを製造する会社です。市場で販売される、皆さんのような発売元企業(販売会社)から化粧品の製造を受注して、製品を納品することが主な業務です。

多くのOEM製造メーカーは、複数の発売元と取引をしており、多数のブランド化粧品を世に送り出す業種です。そのため、化粧品を作ることに関しては、豊富な実績を持っている会社が多く、あらゆる発売元の情報が集まるために、化粧品製造に関する情報・ノウハウも豊富に持っています。

ですから皆さんのご要望に柔軟に対応できる専門家として化粧品販売ビジネスを充分にサポートしてくれるはずです。

以下、各社によって異なりますが、OEM製造メーカーの主な役割をあげます。

試作品の製造・提供

発売元企業の「商品コンセプト」や希望に沿って、実際の化粧品として具現化します。まずは試作品をつくることで、テクスチャー(使用感)、香り、色など、製品としての見た目や使い心地など、商品の表面的な部分を決定していきます。

配合成分の提案・情報提供

「商品コンセプト」に合う、コンセプトとなる配合成分の提案を行ってくれます。これは、皆さんがその化粧品を売っていく上で最も訴求したいコンセプトを表現するために有効な部分となります。例えば「脅威の保湿力〜ヒアルロン酸配合!」や「コエンザイムQ10配合」など、その化粧品のコンセプトを端的に表現する非常に重要な要素となり得ます。

すでに「商品コンセプト」の中で、「ウリ」にする配合成分が決定していれば、それをコンセプトにしていけばよいので必要がないこともあります。しかしながら、OEM製造メーカーはその業界でのポジション上、化粧品の原料・成分に関する情報量は豊富で、最先端の原料・成分をはじめ、原料・成分に関するあらゆる情報を持っています。したがって、専門家としての提案を受けたり、原料・成分に関することはなるべく相談してみるなどして、OEM製造メーカーの情報を活用することをオススメします。

化粧品容器・パッケージなど資材に関する相談(商品仕様)

OEM製造メーカーは、化粧品の中身の製造が本業ですが、皆さんの要望次第で化粧品の容器やパッケージについても相談にのってくれます。内容物の成分によっては使用できない容器もあり、その辺りはあらかじめOEM製造メーカーの意見を聞いて参考にしましょう。またOEM製造メーカーの中には、パッケージや化粧品容器の記載されるブランドロゴなどのデザインもオプションで行っている会社もあります。

薬事申請

化粧品は薬事法という法律で、販売するためには都道府県に届出を申請しなければなりません。皆さんのオリジナル化粧品の製品化が決定した場合、OEM製造メーカーが皆さんに代わって届出を申請してくれます。
これもOEM製造メーカーによっては代行していない会社もありますので、実際に問い合わせて調べる必要があります。

製造(量産)

一般のOEM製造メーカーの本業になります。製品化が決定した化粧品を工場設備で量産し、皆さんが実際に販売する商品を作る過程になります。この後、みなさんのお手元へ納品され、晴れて販売ができるようになるのです。

化粧品OEM製造メーカーの役割(特徴による分類)

日本全国に存在する化粧品OEM製造メーカーの数に関しては、残念ながら正確な統計が存在しないためわかりません。一説には、300以上の会社が存在するといわれています。正確な数はともかくとして、それだけ多くのOEM製造メーカーが存在しているので、その形態や特徴も様々です。

以下、どんなOEM製造メーカーが存在するのか大まかな分類をあげます。

製造可能品目別の分類

まず前提として、100以上とも言われている化粧品の品目全てを製造できる化粧品OEM製造メーカーは存在しません。どんなに大きな工場設備を持っているOEM製造メーカーでも、また、豊富なブランド、ラインナップを販売している大手制度品メーカーといえども、全ての品目を製造できるわけではありません。

OEM製造メーカー各社ごとにそれぞれ製造できる化粧品の品目が異なるのです。大まかに考えると以下のように分類できます。

基礎化粧品
メイン型メーカー
(液体化粧品メイン型)
化粧水(ローション)、乳液、クリーム、美容液、洗顔フォーム液、スキンケア関連の品目をメインとして製造しているOEM製造メーカー。
  • アイテムの特徴としては、液状の化粧品が多く、製造設備もそれに対応した設備を保有しているケースが多い。
  • また、OEM製造メーカーの中でも最もポピュラーなスタイルであり、OEM製造メーカーの数も多いため、それぞれに得意・不得意をはじめとするオリジナリティーを見極めて選ぶ必要があります。
  • 基礎化粧品メイン型のOEM製造メーカーの中には、液体状の化粧品のみでなく+αとして粉末状(粉モノ)が製造可能だったり、一部メイクアップ(色モノ)が製造可能なOEM製造メーカーもあります。
固形石けん特化型メーカー 固形石鹸が製造可能な化粧品OEM製造メーカー。
数も少なく、専業で行っているケースが多いです。固形石鹸を製造する設備を保有しているメーカーが少ないということが秘遊となります。
  • 一部基礎化粧品メイン型のメーカーで、+αとして製造可能なメーカーもあります。
  • 固形石鹸の場合、特徴として総じて受注最小ロットが大きいメーカーが多い傾向にあります。というのも、石鹸専業で大規模な製造設備を保有しているメーカーが多いため、少ない受注量(小ロット)では設備を稼働させることができないためです。
メイクアップ化粧品
メイン型メーカー
【粉モノ型】
パウダーファンデーションなど粉末状化粧品(粉モノ)を得意とするOEM製造メーカー。粉末状のパウダーをコンパクトにプレスして固める設備を保有しています。
【色モノ型】
口紅やリップグロス、ネイルカラー、マスカラ、アイシャドウ、アイライナーなど、色を重視した品目を製造するメーカー。微妙な色合いを調整する技術や、特殊な充填設備を必要とするため、全体的にメーカーの数は少なく、アイテムごとに特化して製造するメーカーもありますが、メイクアップ全般を受注する大規模なメイクアップ専門OEMメーカーが多くあります。
エアゾール化粧品
(スプレー缶)
メイン型メーカー
ヘアスプレーやヘアムースや制汗スプレーなど、エアゾール化粧品(スプレー缶)を専門として、中身の製造から充填までを行うメーカー。エアゾールという特殊な包装形態であるため、メーカーの数は少なく、一部の専門メーカーが製造を行っています。

受注量(最小ロット)での分類

OEM製造メーカー各社は、その保有設備や工場の規模によって最小受注量に差があります。大まかに分類すると、以下のように小ロット〜中ロットが得意なメーカーと大ロットが得意なメーカーがあります。厳密に言うと、最小受注量(最小ロット)については、一概に◯◯個以上とは言えない部分がありますので、ロットによる分類はあくまで参考程度に考え、ケースbyケースですので実際にOEMメーカーに都度問い合わせてみるほうが良いでしょう。

小ロット〜中ロット
得意型メーカー
小ロット〜中ロット域の発注数を製造するのが得意な化粧品OEM製造メーカー。
比較的高価格帯の化粧品を製造するケースが多く、小ロット多品種生産が得意なメーカーが多い。生産作業はあらゆる仕様に対応しなければならない性質上、内容物充填や包装過程のラインが自動化されておらず、人件費が高くなる傾向がある。したがって、大ロット製造を得意とするメーカーと比べると、製品1個あたりの納品単価は高めになる傾向がある。
  • 概ね1,000個〜10,000個程度の製造を得意とするメーカが多い。
  • 一般的に業界で「小ロット」というと、1,000個程度と考えておけば認識として問題ありません。つまり、小ロット対応が可能、得意なメーカーにおいても最低1,000個以上は1回の発注数として考慮するのが業界の慣習です。
  • 近年は、1,000個以下での極小ロット対応が可能なOEM製造メーカーも珍しくない。ただし後述するが、容器やパッケージなどの資材ロットとの兼ね合いで、製品仕様に制限が出てデザインなどの自由度はなくなる可能性がある。
大ロット得意型メーカー 大ロット、概ね10,000個以上の製造を得意とする化粧品OEM製造メーカー。
大量生産を得意とし、小ロット〜中ロットを得意とするメーカーとの違いは、ラインが自動化されているメーカーが多いところ。同じものを大量に生産する能力には長けているため、製造ロットさえ確保できれば小ロット〜中ロットを得意とするメーカーと比べ、比較的低単価で製造できる。ただし、ラインが自動化されているケースが多いため、細かな製品仕様に対応できない場合もある。
  • 製造ロットが大きくなればスケールメリットが働き、1個あたりの納品単価が下がる傾向がある。
    そのため、製造個数が大量ロットであればあるほど、小ロット〜中ロットを得意としているメーカーへOEM受託するよりもメリットは大きくなる。

研究開発動向での分類

近年、化粧品OEM製造メーカーも、より高付加価値な化粧品を製造するために研究開発に力を入れている傾向が見られます。例えば、化粧水を製造可能なOEM製造メーカー同士を比較しても、より肌に対して高機能な化粧品を研究開発によって製造可能により差別化を図るOEM製造メーカーがある。

そのような、付加価値を想像する研究開発を積極的に行っているOEM製造メーカーは、より付加価値の高い化粧品を提供してくれる傾向が強いため、チェックしておくのも良いかもしれません。

品質管理体制での分類

化粧品OEM製造メーカー各社によって大きく異なる要素である。品質管理の問題は、化粧品を世に送り出す上で、発売元にとっては最も神経を使うべき点と言えるため、痛くを検討しているOEM製造メーカーの品質管理体制については、事前に聞いておくことをオススメします。

※比較的大規模なOEM製造メーカーの中には、ISO規格など品質管理の基準となる規格を取得していたり、GMP基準に則った医薬品レベルの品質管理体制が整っているOEM製造メーカーもあり、各社によってその取り組み、体制は様々である。

営業体制での分類

化粧品OEM製造メーカー各社で体制が大きく異なる部分として営業面が揚げられます。

具体的には、「完全に待ちの営業のみ」のメーカーもあれば、「営業マンが積極的に顧客開拓を行っている」メーカーもあります。

また、積極的に顧客開拓を行っているメーカーに観られる傾向が強いですが、近年は、顧客が求める化粧品を作るだけでなく、OEM製造メーカー側がこれまで積み上げたノウハウや研究開発で蓄積した技術力で、積極的に商品企画を提案しているメーカーもあります。

中には、発売元に対して製品のみでなく、売るための販促支援までをサービスとして行っているメーカーもあります。自社が必要としている要素によって、OEM製造メーカーの営業面も考慮して委託先を選定することが望ましいでしょう。

製造・生産設備(工場)の有無での分類

化粧品OEM製造メーカーというと必ず製造・生産設備(工場)を自社で保有してる企業ばかりかというとそうではありません。

概ねOEM製造メーカーとして業務を行っている企業は、工場を保有してるケースが多いですが、工場を持たないファブレスなOEM製造メーカーもあります。一例をあげると、研究施設を保有していて顧客の製品処方を決定し、納品する化粧品を量産する際には提携工場に製造を依頼する形をとり、研究開発に専念しているメーカーがあります。また、提携工場や容器メーカーなど業界内に広く提携先を持ち、顧客の化粧品販売ビジネスをあらゆる角度から支援するコンサルタント型のOEM製造メーカーもあります。

こちらもそれぞれ長所がありますので、自社が必要な要素を考慮して委託先OEM製造メーカーを選定することが望ましいでしょう。

化粧品OEM製造メーカーがどんな会社で、どんな特徴を持っているのか、以上の説明でわかりましたか?

「おシゴト粧界ナビ」では、皆さんが化粧品を作る上で、最適なOEM製造メーカーを選定できるよう、様々な情報を提供しております。本章の内容を基本として参考にするといいでしょう。前章の内容を参考にして自分たちが作りたい化粧品と照らし合わせて、リンク先の企業へコンタクトを取ってみるのも良いでしょう。

  • 自分たちが作りたい化粧品を作れるOEM製造メーカーは?
  • 自分たちが作りたい数量(ロット)を無理なく作れるOEM製造メーカーは?
  • 販売促進面でもサポートしてくれるOEM製造メーカーは?
  • 容器やパッケージなどの資材も調達してもらえるOEM製造メーカーは?
  • 技術的に特徴を持ったOEM製造メーカーは?
  • 大量生産で単価を安く製造できるOEM製造メーカーは?

などなど、皆さんのご要望に適うOEM製造メーカーを、時間をかけて探してください。

もちろん、全ての要望を満たしてくれるOEM製造メーカーなんてありません。
皆さんが必要とする要素に優先順位を設けて、可能な限り満たしてくれる最適なOEM製造メーカーを選択することが、化粧品販売ビジネスを成功に導く第一歩となるのです。

次章では、実際に化粧品OEM製造メーカーへのアプローチからお取引のうえでポイントとなる内容をご紹介します。

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